「技能実習制度ってそもそもどんな仕組み?」「育成就労制度に変わるって聞いたけど、今の技能実習生はどうなるの?」――制度の移行期にあたる今、正しい情報を把握しておくことが重要です。

この記事では、技能実習制度の仕組みから問題点、そして2027年の育成就労制度への移行まで包括的に解説します。

❗ 技能実習制度は2027年に育成就労制度へ移行予定 2024年6月の法改正により、技能実習制度は「育成就労制度」へ発展的に解消されることが決定しました。施行後3年間は経過措置期間が設けられます。

技能実習制度の概要と目的

技能実習制度は1993年に創設され、法律上の目的は**「人材育成を通じた国際貢献」**です。開発途上国の外国人が日本企業で働きながら技能を習得し、帰国後にその技能を母国の発展に活かすという趣旨で運用されてきました。

約35万人2025年末時点の技能実習生数
97%団体監理型の割合
1993年〜制度の運用開始年

受入れ方式は以下の2つです。

方式内容割合
企業単独型海外の現地法人や取引先から直接受入れ約3%
団体監理型監理団体を通じて受入れ約97%

主な送出国はベトナム・インドネシア・フィリピン・ミャンマーです。

技能実習1号・2号・3号の違い

技能実習は段階的に3つの区分に分かれています。

項目技能実習1号技能実習2号技能実習3号
期間1年目2〜3年目4〜5年目
在留期間最長1年最長2年最長2年
対象職種90職種165作業90職種165作業77職種135作業
移行要件技能検定基礎級合格技能検定3級合格
転職原則不可原則不可原則不可
💡 移行時の注意点
  • 1号→2号:技能検定試験(基礎級)の合格が必須
  • 2号→3号:受入れ企業と監理団体の両方が優良認定を受けていることが必要
  • 3号では一旦帰国してから再入国する手続きが発生

監理団体の役割と選び方

団体監理型で受け入れる場合、監理団体は制度運用の要です。

監理団体の主な役割

  • 技能実習計画の作成支援
  • 入国前・入国後の講習の実施
  • 受入れ企業への定期的な監査(3ヶ月に1回以上)
  • 技能実習生からの相談対応
  • 送出機関との連絡調整

選び方の5つのポイント

  1. 優良認定の確認:一般監理事業の許可を取得しているか
  2. 対応言語・対応国:受入れ予定の国籍に対応しているか
  3. 監査体制:専任の監査担当者がいるか
  4. 費用の明確さ:監理費の相場(月額2.5〜5万円/人)と比較して妥当か
  5. トラブル対応実績:過去の問題への対応事例を説明できるか

当サイトの監理団体比較・口コミも選定の参考にしてください。

制度が抱える問題点

技能実習制度は長年にわたり、国内外から厳しい批判を受けてきました。

⚠ 主な問題点

転職の自由がない

技能実習生は原則として転籍不可。劣悪な環境でも逃げ場がないという構造的問題が生じていました。

報告されている人権侵害

⚠ 絶対にあってはならない行為
  • パスポートや在留カードの取り上げ
  • 長時間労働や賃金未払い
  • ハラスメントや暴力
  • 劣悪な住環境

失踪者の増加

年間9,000人以上の技能実習生が失踪しているとされ、その背景には過大な借金を背負っての来日、低賃金、劣悪な労働環境があります。

制度の建前と実態の乖離

「国際貢献・技能移転」という制度目的と、「労働力確保」という実態の間の大きなギャップが、諸問題の根本原因です。

育成就労制度への移行スケジュール

  1. 2024年6月:改正法成立
  2. 2025〜2026年:政省令の整備、受入れ対象分野の確定
  3. 2027年(予定):育成就労制度の施行開始
  4. 施行後3年間:経過措置期間(既存の技能実習生は現行制度で在留継続可能)

育成就労制度の主な変更点

✅ 育成就労制度で変わること
  • 目的が「人材確保と人材育成」に変更(労働力確保を正面から認める)
  • 転籍(転職)が一定条件下で可能に(同一分野内、就労1〜2年経過後)
  • 対象分野が特定技能制度と統一される
  • キャリアパス:3年の育成 → 特定技能1号への移行を目指す設計

詳しくは育成就労制度の解説記事をご覧ください。

企業が今やるべきこと

短期的(2026年中)

  • 現在の技能実習生の在留期限と実習計画を再確認
  • 監理団体に新制度への対応方針を確認
  • 技能実習生とのコミュニケーションを強化し、不安の解消に努める
  • 賃金や労働条件が法令に適合しているか改めて点検

中期的(2027年の施行前後)

  • 育成就労計画の策定に着手
  • 受入れ対象分野に自社の業種が含まれるか確認
  • 転籍が可能になることを前提に「選ばれる職場」づくりを推進
  • 特定技能への移行パスを見据えたキャリア支援体制を整備
💡 経営視点でのポイント 新制度では転籍の自由度が上がるため、待遇や職場環境が悪い企業からは人材が流出するリスクがあります。逆に、働きやすい環境を整えている企業にとってはチャンスです。外国人材の定着率を高める取り組みが、今後の競争力に直結します。

よくある質問

Q. 技能実習制度はいつなくなる?

2027年に育成就労制度へ移行予定です。ただし施行後3年間は経過措置があり、既存の技能実習生は現行制度で在留を継続できます。

Q. 技能実習から特定技能への切り替えは可能?

はい。技能実習2号を良好に修了すれば、同一分野で試験免除で特定技能1号に移行可能です。

Q. 今から技能実習生を受け入れても大丈夫?

2027年の施行までは現行制度で受入れ可能です。ただし新制度への移行を見据えた準備も並行して進めることをおすすめします。

まとめ

📌 この記事のポイント
  • 技能実習制度は1993年創設。「国際貢献」が目的だが実態は労働力確保に利用されてきた
  • 転籍不可・人権侵害など構造的問題を抱え、2027年に育成就労制度へ移行予定
  • 企業は現行制度の適正運用を徹底しつつ、新制度への準備を今から始めるべき

制度の移行期は不安も多いですが、正しい情報をもとに計画的に対応すれば、自社の受入れ体制を強化する好機となります。育成就労制度特定技能制度の解説記事もあわせてご覧ください。