「アルバイトが集まらない」「せっかく採用してもすぐ辞めてしまう」——飲食・外食産業の人手不足は、コロナ禍を経てさらに深刻化しています。インバウンド需要の回復もあり、特に都市部の飲食店では慢性的な人手不足に陥っています。

こうした状況の中、**特定技能「外食業」**を活用した外国人材の採用が急増中。2025年6月時点で約3.6万人が就労しており、前年から1.8倍に増加しました。

この記事では、飲食・外食産業に特化した外国人材の受入れ方法を、制度の仕組みから現場での教育方法まで詳しく解説します。

約3.6万人特定技能「外食業」の在留者数(2025年6月)
5.3万人2028年度までの受入れ見込み数
1.8倍前年比の増加率

特定技能「外食業」の対象となる業務

特定技能「外食業」で外国人材が従事できる業務は、飲食店の運営に関する幅広い業務です。

業務カテゴリ具体的な業務内容
調理食材の仕込み、加熱調理、盛り付け、食器洗浄
接客注文受け、配膳、会計、テーブルセッティング
店舗管理食材管理、衛生管理、清掃、在庫管理
💡 対象となる事業所の範囲 飲食店だけでなく、**テイクアウト専門店、仕出し・弁当屋、給食施設、ケータリング**なども対象です。ただしコンビニや小売店内の簡易な調理は原則対象外となります。対象の判断は、飲食店営業許可の有無が一つの基準です。

受入れの要件と手続き

外国人材側の要件

  • 外食業技能測定試験に合格していること
  • 日本語能力試験N4以上(またはJFT-Basic合格)
  • または技能実習2号(医療・福祉施設給食製造等)を良好に修了
  • 18歳以上であること

企業側の要件

  • 飲食店営業許可または喫茶店営業許可を保有
  • 食品産業特定技能協議会への加入
  • 外国人材への支援体制の整備(自社 or 登録支援機関に委託)
  • 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
  • フルタイム(週30時間以上)の直接雇用であること
⚠️ 受入れ上限に注意 外食業分野は受入れ見込み数5.3万人に対し、2025年時点で約3.6万人に達しています。上限に近づくと**新規受入れが一時停止**される可能性があります(実際に2026年4月に一時停止措置が取られました)。受入れを検討している場合は早めの行動が重要です。

受入れの流れ

  1. 食品産業特定技能協議会への加入:農林水産省所管の協議会に加入申請(初回受入れ後4か月以内)
  2. 人材の選定:海外試験合格者の採用、国内在住者の採用、または人材紹介会社の活用
  3. 雇用契約の締結:フルタイム・直接雇用。勤務時間・給与・休日を明記
  4. 支援計画の策定:生活オリエンテーション、日本語学習支援、相談体制など
  5. 在留資格の申請:出入国在留管理庁へ申請
  6. 就労開始:衛生研修・接客研修を経て業務に配置

採用の流れの全体像はこちら

飲食店ならではの教育ポイント

食品衛生の教育

飲食業で最も重要なのは食品衛生です。文化や習慣の違いから、衛生基準への認識が異なる場合があります。

  • 手洗いのタイミングと方法を写真付きで掲示
  • 食材の温度管理(冷蔵・冷凍・加熱)のルールを視覚化
  • アレルギー対応の重要性を母国語で説明
  • 食中毒の原因と予防策を定期的に研修
  • ユニフォーム・身だしなみの基準を明文化

接客・日本語教育

「お客様の前に出す前に、まず基本の挨拶と注文の取り方を1週間かけて練習しました。ロールプレイ形式でやると自信がつくようで、2週目には笑顔で接客できるようになりました」

東京都内の居酒屋チェーン 店長
教育項目推奨する方法
基本接客用語「いらっしゃいませ」「少々お待ちください」等の定型フレーズを暗記
メニュー説明料理名と食材を母国語対訳付きで覚える
注文受けハンディ端末やタブレットの操作研修
クレーム対応「申し訳ございません」+上司へのエスカレーションを徹底
電話対応予約受付の定型スクリプトを用意

費用の目安

費用項目金額の目安
人材紹介料約20〜40万円(1人あたり)
登録支援機関への委託費約2〜3万円/月
渡航費・入国前研修費約10〜20万円(海外からの場合)
住居手配費敷金・礼金の立替え等
給与水準日本人と同等以上(地域の最低賃金以上)
🟢 コスト意識のポイント 飲食業は利益率が低いため、受入れコストが経営を圧迫しないよう計画が大切です。複数店舗を運営している場合は、一括で受入れ計画を立てることでスケールメリットが働きます。→ [費用比較の詳細はこちら](/articles/cost-comparison)

よくある質問

Q. 居酒屋でお酒を提供する業務も対象ですか?

はい、飲食店営業許可を持つ店舗であれば、酒類の提供を含む接客業務も対象です。ただし、風営法に基づく接待飲食等営業(キャバクラ等)は対象外です。

Q. 個人経営の小さな飲食店でも受入れできますか?

飲食店営業許可があれば、個人経営の店舗でも受入れ可能です。支援体制の整備が難しい場合は、登録支援機関に委託することで対応できます。→ 登録支援機関の選び方はこちら

Q. 留学生のアルバイトと特定技能の違いは?

留学生は週28時間の就労制限がありますが、特定技能はフルタイムで制限なく働けます。また特定技能は調理・接客・店舗管理のすべてに従事可能で、戦力としての期待値が大きく異なります。

Q. 多店舗展開している場合、店舗間の異動はできますか?

同一法人内であれば店舗間の異動は可能です。ただし、勤務場所が変わる場合は在留資格の届出変更が必要な場合があるため、事前に確認しましょう。

まとめ

📌 この記事のポイント
  • 特定技能「外食業」は調理・接客・店舗管理の**幅広い業務**に従事可能。飲食店の人手不足解消に直結する制度
  • 受入れ上限に近づいているため**早めの行動が重要**。新規受入れの一時停止リスクあり
  • 食品衛生の教育と接客日本語の研修が成功のカギ。**ロールプレイ形式**の実践的な教育が効果的

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