「介護の人手が足りない…外国人材を受け入れたいけど、どの制度を使えばいいの?」——そんな悩みを抱える介護事業者の方は少なくありません。

介護分野には4つの外国人材受入れ制度があり、それぞれ目的・在留期間・日本語要件が異なります。この記事では、各制度の違いから受入れの具体的な流れ、成功のポイントまで徹底解説します。

約4.4万人特定技能「介護」の在留者数(2024年12月時点)
約13万人2028年度の受入れ見込み(政府目標)
4制度介護分野の外国人材受入れルート

介護分野の外国人材受入れ——4つの制度を比較

介護分野で外国人材を受け入れるルートは、大きく分けて4つあります。それぞれの特徴を理解し、自施設に合った制度を選ぶことが成功の第一歩です。

項目EPA(経済連携協定)技能実習特定技能1号在留資格「介護」
目的二国間の経済連携技能移転(国際貢献)人材確保専門的・技術的分野
在留期間最長4年(+1年延長可)最長5年最長5年制限なし(更新可)
対象国インドネシア・フィリピン・ベトナム制限なし制限なし制限なし
日本語要件N5程度〜(入国時)N4程度(入国時)N4以上(試験合格)N2程度(養成校卒業)
転職不可原則不可可能(同一分野内)自由
家族帯同不可不可不可可能(配偶者・子)
💡 2025年4月の重要改正 2025年4月から、特定技能・技能実習の外国人材が**訪問介護**にも従事できるようになりました。これまで施設系サービスに限定されていた就労範囲が大幅に拡大しています。

各制度の詳しい仕組み

EPA(経済連携協定)による受入れ

EPAは、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国との二国間協定に基づく制度です。**国際厚生事業団(JICWELS)**が唯一の受入れ調整機関となります。

  1. 候補者の選定:JICWELSを通じて候補者とマッチング
  2. 入国前研修:現地で日本語・介護の基礎研修(6か月程度)
  3. 入国・就労開始:介護施設で就労しながら学習
  4. 介護福祉士試験:在留4年目に国家試験を受験
  5. 合格後:在留資格「介護」に変更し、永続的に就労可能
⚠️ EPA受入れの注意点 EPA候補者は介護福祉士の国家試験に合格することが前提です。不合格の場合は原則帰国となるため、**学習支援体制の構築**が不可欠です。合格率は年々上昇していますが、施設側の支援負担も考慮が必要です。

技能実習制度(2027年に育成就労へ移行)

技能実習「介護」は2017年に追加された比較的新しい職種です。監理団体を通じて受入れを行います。

入国時にN4程度の日本語能力が求められ、2年目以降はN3程度が目安です。介護の技能を母国に持ち帰る「技能移転」が本来の目的ですが、実質的には人材確保の手段としても活用されています。

❗ 2027年からの制度変更 技能実習制度は**2027年に「育成就労制度」へ移行**予定です。新制度では転籍(転職)が一定条件下で認められるほか、特定技能1号への移行がスムーズになります。現在技能実習で受入れている事業者は、移行スケジュールを確認しておきましょう。→ [育成就労制度の詳細はこちら](/articles/ikusei-shuro-toha)

特定技能1号「介護」

2019年に創設された特定技能制度は、即戦力となる人材の確保を目的としています。介護分野は特定技能の中でも最も受入れ人数が多い分野の一つです。

受入れには2つの要件があります:

  • 介護技能評価試験に合格していること
  • 日本語能力試験N4以上(または国際交流基金日本語基礎テスト合格)
  • 介護日本語評価試験に合格していること
  • 受入れ機関が適切な支援体制を整備していること

特定技能は登録支援機関に支援業務を委託できるため、初めて外国人材を受け入れる施設でも取り組みやすい制度です。→ 登録支援機関の選び方はこちら

在留資格「介護」

日本の介護福祉士養成校(専門学校等)を卒業し、介護福祉士の国家資格を取得した外国人が対象です。在留期間の更新に制限がなく、家族帯同も可能なため、最も安定した在留資格と言えます。

ただし、養成校での2年以上の就学が必要なため、受入れまでに時間がかかります。長期的な人材確保策として位置づけるのが適切です。

📌 制度選びのポイント
  • **すぐに人材が必要** → 特定技能1号が最短ルート
  • **長期的に育成したい** → EPA or 技能実習(育成就労)
  • **永続的な雇用を目指す** → 在留資格「介護」取得を見据えた計画を

受入れにかかる費用の目安

外国人介護人材の受入れには、制度ごとに異なるコストがかかります。

費用項目EPA技能実習特定技能
初期費用(紹介・手続き)約20〜40万円約30〜50万円約20〜40万円
月額管理費・支援費約3〜5万円/月約2〜4万円/月
渡航費・入国前研修費JICWELS負担分あり約15〜30万円状況による
給与水準日本人と同等以上日本人と同等以上日本人と同等以上
🟢 費用を抑えるヒント 複数の監理団体・登録支援機関から見積もりを取り、サービス内容と費用のバランスを比較しましょう。費用だけで選ぶと支援の質が低下し、早期離職につながるケースもあります。→ [費用比較の詳細はこちら](/articles/cost-comparison)

日本語レベルと業務範囲の関係

介護現場では利用者とのコミュニケーションが不可欠です。日本語レベルと任せられる業務の目安を把握しておきましょう。

日本語レベル目安対応可能な業務
N4基本的な日常会話身体介護の補助、食事・入浴介助(指導者同伴)
N3日常会話がほぼ可能一人での身体介護、記録の作成(簡易)
N2ビジネスレベル夜勤対応、ケアプランの理解、家族対応
N1ネイティブに近いリーダー業務、後輩指導、ケアマネとの連携
⚠️ 夜勤対応について 夜勤は日本語でのとっさの対応力が求められます。**N3以上**の日本語力を目安に、十分な研修期間を経てから夜勤に配置するのが望ましいとされています。緊急時の対応マニュアルを多言語で用意しておくことも重要です。

介護福祉士資格の取得——永続的な雇用への道

外国人介護人材に長く働いてもらうためのカギが、介護福祉士の国家資格取得です。資格を取得すれば在留資格「介護」に変更でき、在留期間の制限なく日本で働き続けることができます。

  1. 実務経験3年以上:介護施設での従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上
  2. 実務者研修の修了:450時間の研修カリキュラムを修了(EPA候補者は免除の場合あり)
  3. 国家試験の受験・合格:毎年1月に実施。合格率は日本人を含めて約70%前後
  4. 在留資格の変更:合格後、在留資格「介護」への変更申請

「ベトナムから来たスタッフが3年目で介護福祉士に合格しました。今ではフロアリーダーとして活躍しています。合格までの学習支援は大変でしたが、長期戦力として考えると十分な投資でした」

関東圏の特別養護老人ホーム 施設長

受入れを成功させる5つのポイント

  1. 日本語学習の継続支援:週1回の日本語教室やオンライン学習ツールの導入で、入国後も継続的にレベルアップをサポート
  2. 生活面のサポート体制:住居の確保、銀行口座の開設、ゴミの分別など生活面の支援は定着率に直結します → [生活支援の詳細はこちら](/articles/hiring-flow)
  3. メンター制度の導入:日本人職員をメンターに指名し、業務だけでなく悩み相談もできる関係を構築
  4. キャリアパスの明示:介護福祉士取得→リーダー→管理者という道筋を示すことでモチベーションを維持
  5. 多文化共生の職場づくり:宗教的配慮(礼拝時間・食事制限)や母国の祝日への理解が信頼関係の基盤になります

よくある質問

Q. 介護分野で最も受入れが多い制度はどれですか?

特定技能1号「介護」が最も多く、2024年12月時点で約4.4万人が在留しています。試験に合格すれば比較的短期間で受入れができるため、近年急速に増加しています。

Q. 外国人介護人材に夜勤をさせてもいいですか?

法律上の制限はありませんが、日本語力N3以上を目安に十分な研修期間を経てからが推奨されます。緊急時対応マニュアルの多言語化や、夜勤時の連絡体制(通訳アプリの活用等)も整備しましょう。

Q. 介護福祉士の試験は外国人にとって難しいですか?

試験自体は日本語で実施されるため、介護技術より日本語の読解力がハードルになるケースが多いです。EPA候補者向けには試験問題にルビ(ふりがな)が付くなどの配慮があります。合格に向けた計画的な学習支援が鍵です。

Q. 訪問介護でも外国人材を活用できますか?

2025年4月の制度改正により、特定技能・技能実習の外国人材も訪問介護サービスに従事できるようになりました。ただし、一定の研修や経験要件が設けられているため、詳細は最新の通知を確認してください。

まとめ

📌 この記事のポイント
  • 介護分野の外国人材受入れには**4つの制度**(EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」)があり、目的と状況に応じて選択する
  • **特定技能1号**は最短ルートで即戦力を確保でき、受入れ人数も最多。2025年からは訪問介護も対象に
  • 長期的な定着には**介護福祉士資格の取得支援**と**生活面のサポート**が不可欠。キャリアパスの明示がモチベーション維持の鍵

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